結局わたしは
君に何もあげられなかった。
結局わたしは
君の事なんにも分かってなかった。


言葉で
声で
身体で
すきとか あいしてるとか
そういう類を叫ぶことは出来たけれど
君の悲しみを取り去ることなんて
何も出来ていなかった。


待っていた冬は
容赦なく、おろかな私を貫いて
風とともに 
君を連れて行ってしまった。
残されたのは
瞬きひとつ。


君の突き放すような刃に
めためたにされて
只、呆然としている
そんな私なのです。



君の残り香が
ふわり、と宙を舞って、
そのとき漸く
わたしの頬を 涙が滑ったのです。


「馬鹿で 可愛くて 従順」


そんなをんなが欲しいんだと。
私には決して飲めない要求を突きつけるのが
あなたという人間でした。


「愚かで 汚くて 天邪鬼」


そんなをんなにならなれるのに。
あなたは最後まで酷いひとでした。



さようならすら言わせてくれない
氷のようなあなたに
結局最後まで。最期まで。
魅せられていた私でした。




「Last song」05.1225