明後日の電車に乗って
私は空に旅立つのです
失くし物を探す為に。



漸く御逢い出来た時、貴方は
大層疲れ切った御様子で
黒くて大きい眼の下に
涙の後を御見受けしました。



長い溜息の後
貴方は腕を組み
鋭い視線を私に走らせました
其の射る様な其れに、私はビクリと身を震わせ
困惑致しました



ぽたりぽたりと
点滴の液が滴る音が響くのです
透明の液体が私の身体に流れ落ちる度に
私の命は比例して空虚な物体へと変化するのでせう




・・・気が付いた時には貴方はモノと化していて
私の手には小さな果物ナイフ
滴る液体は何時の間にやら真紅に
左様ならを言う暇もないほどの衝動に
私はまた1人 身震いを起こします



見上げた空は
綺麗な蒼
私の周りは
綺麗な紅
貴方はモノだけど私は生きている



このコントラストに心を奪われないで


破滅へと貴女を連れて行くだろうから






05.7.20「殺戮」